【読書感想】まじろぎ奇談|岩城裕明|じわじわくる不穏がクセになる

こんにちは、ginkoです。
今回は、岩城裕明さんの「まじろぎ奇談」についての読書感想を綴ります。
この作品は、AmazonのKindle Unlimitedにおいて見つけた本で、短い奇妙話がたくさん収載されていましたが、あっという間に読了できるほど面白かったです。
ネタバレは極力回避しております。個人的な見どころをふくめて紹介しますので、気になる方は参考にしてください。
まじろぎ奇談ってどんな本?
「どこかで誰かが、ボソリと口にしたつぶやき
そんな、短くて、奇妙な掌編を55編、まとめました」
掌編(しょうへん)とは、短編小説よりも短い小説のこと、まじろぎ奇談は55の掌編が収載された本です。実際に、一つの話はわずか3行程度で、文章でいうとだいたい5文くらい。中には、わずか1文のものまでありました。
まじろぎ奇談の見どころ
ここでは、私が読んで実際に感じた「まじろぎ奇談」の見どころを紹介します。
1:わずかな文章だけで広がる不穏な世界
「掌編」とあるように、1話1話はとても短いですが、その簡潔さがかえって読み手の想像力を刺激し、不穏な空気を際立たせています。話によっては、あからさまに不気味なものもありますが、中には一見普通の日常描写と思いきや、たったの1単語で空気が一気に変わるような話も。
過度ではなく「え?」という違和感が他の文章に自然に溶け込んでいるため、余計に不気味さを感じさせてくれます。このじわじわくる感じがクセになり、次から次へと奇談を読む手が止まらなくなるでしょう。
2:舞台の設定が現代的でリアル
この奇談では、昔話に出てくるような幽霊にまつわる話よりも、現代における怪しくて不思議な話が目白押しです。中でも、誰もが知っているような日常生活や場所が舞台となった物語が多いため、読み手はより身近な恐怖を感じられます。
また、描かれる怪奇が特別な場所ではなく、ありふれた日常の延長線上で発生するため、単なる怪しい話で終わらないのもポイント。「自分の身にも起こり得る恐怖」もわきたてられ、よりリアルな不穏さも味わえます。
3:怪奇を引き起こすものとは?
収載話の中には、単に霊的な存在による奇談だけでなく、人の悪意など心理の歪みによって引き起こされた奇談も描かれています。怪奇の原因に人が関わっていることが多いことに気づかされ、人間のリアルな恐ろしさも感じられるでしょう。
主人公は果たして「被害者」なのか「加害者」なのか、それとも「傍観者」なのか。本作品は、日常生活の中で「誰もがなり得る状況」について考えさせられる要素もあります。
読書感想
物語は短いのに長い余韻で楽しませてくれた
基本的に一方的な怪奇描写のため、起こったことに対する解決のようなものはなく、そのまま物語が終わっています。そのため、作品自体はあっという間に読めたのですが、読了後は「その後が気になる」「あれは何だったのか」など、物語は短いのに長い余韻で楽しませてくれる作品だなと思いました。
中には、救いようのないものや理不尽を感じさせるものもあり、なんともいえないモヤモヤが後を引くことも。「一番恐ろしいのは人間そのものではないだろうか」とさえ感じ、さすがにこの状況にはならないだろうと思いながらも、日々気を付けていこうと思いました(笑)。
たった数行での表現力が素晴らしい
余計な文章がなく、わずかな文字数だけで、ここまで引き込まれるような不気味さを表現するのは、簡単なことでは無いと思います。自分もライターとして仕事をする際、文章の取捨選別に時間をかけてしまうことが多いため「伝えたい事をシンプルかつわかりやすく表現」されていることに、純粋にすごいなぁと思いました。
中には、タイトルと短い1文だけの作品もありましたが、それだけで脳内に想像が膨らんでゾワッとさせられ、タイトルとワンセットな構成に「そうきたか」とも。表現力と発想力、そのどちらもないと成り立たない作品集で、勉強にもなりました。
全部が不穏なものではなかった
全体を通して不気味なものが圧倒的に多かったのですが、所々にクスッとしたり、ほっこりする物語もありました。日常に溶け込みすぎて、主人公からすればもはや怪奇でもなんでもなく「それが日常」になっている描写が時折あり、それはそれである意味「怪奇」(笑)。
個人的には『けこみ女』『もどき』『名所さん』がほっこりしていて面白かったです。また、少し感傷的な余韻を残す『雨人』や前向きな印象も受ける『はじまり』も、他のダークな話の流れで読むから余計に(笑)素敵な話に感じられました。
まじろぎ奇談2も読みました!
1に比べると話数は少ないですが、それでも40話はありました。内容は1と同様、じわじわくる不気味さや奇妙さが散りばめられていましたが、全体を通して「人が持つ怖さ」が多かったように感じます。
つい想像して「うぇっ」てなったり「痛い痛い痛い」と感じてしまう話もあったので、ご注意を。こちらも1と同様で、不気味なんだけどクスッとなる作品(個人的には『提供』『願い』『障子に穴』『タイマー』が該当します)も時折はさまれており、感情豊かな奇談が楽しめました。
まじろぎ奇談はKindle Unlimitedの対象!
AmazonのKindle Unlimitedを利用していれば、本作品(1・2ともに)は無料で読むことができますが、本サービスを利用していなくても、100円(電子書籍)で購入できます。作品自体のボリュームは多くありませんが、50話前後の掌編を楽しめるため、かなりお買い得でおすすめです。
※2025年11月の情報です。価格やKindle Unlimitedの情報は、今後変動する可能性があるため、ご注意ください。
Kindle Unlimitedに興味がある方は、こちらの記事で実際に使って感じたメリット・デメリットなとをレビューしています。良かったら参考にしてください。








